透明感のある淡い青藤色の濃淡で織分けた、柔らかな横段の地に「ヴェネツィア段文」と名付けられた文様が織り出されています。卓越した織の技術と美しい素材、そして吉野さんの新しい感性が調和した、美術工芸 啓(びじゅつこうげい ひらく)の袋帯です。
美術工芸 啓は、西陣で修業を重ねた吉野啓二さんが興した、私の知る限り最も新しい機屋(はたや)さんです。創業は8年前。業界全体が縮小していくなかでの独立、まして帯地の機屋をこの時代に興すなど、余程の覚悟と熱意が無ければできません。
それまでの"伝統的な帯づくり"に疑問を抱いた吉野さんが目指したのは、これまでにない新しい感覚の帯地。京都で培われた高い織の技術を、もっと違う形で表現したい。そのために、デザイン・色を一から見直し、それを支える美しい素材を追求しました。

反端に織り出された"押し本漆本銀箔”と"生引き糸"…
安価な化学繊維の箔糸が主流になってしまった現在において、啓さんの用いる"押し本漆本金箔”"押し本漆本銀箔”は、群を抜いた美しさを保っています。箔糸用に漉いた土佐和紙に漆を塗り、金沢で作られた本金や銀を貼り細く裁断する。言葉にすればあっという間ですが、大変な手間と時間のかかる仕事です。
そして、帯地の大半を占める糸には、ブラタクの"生引き糸”を使用しています。糸を出来るだけ傷めない様に…そんな発想から生まれたこの糸。熱を加えず、生の繭からひかれたその糸は、絹本来の艶と力を保ったまま、帯地へと織り込まれていきます。

素材の美しさと、吉野さん拘りの精緻な織…
伝統的な織の高い技術と美しい素材、そして吉野さんの新しい感性が調和した、美術工芸 啓の袋帯。シンプルで洗練された意匠(デザイン)と、素材(糸・箔糸)が互いに引き立て合い、本当に美しい仕上がりです。 きっと私の拙い写真では、この帯地の美しさの半分もお伝えできていないと思います。ぜひお手に取って、ご覧頂ければ幸いです。
よそ行きの小紋、色無地、付下、訪問着などに合わせて…お手持ちのお着物とのコーディネイトなど、お気軽にご相談下さい。
美術工芸啓 袋帯(ヴェネツィア段文・押し本漆本銀箔)
素材 絹85%・指定外繊維15%
長さ 約4.6m
巾 約31cm
納期 寸法確定後約20日*お急ぎの場合はご相談下さい。
着用時期 9月〜翌年5月(秋単衣+袷時期)
着物合せ 小紋・色無地・付下・訪問着など
■お仕立てについて
弊店にて検品後、弊店の基準に合格した国内の熟練の和裁士さんにお仕立てをお願いしています。帯芯の堅さや、寸法のご相談などございましたら、お申し付けください。
>お仕立てについての詳細はこちら
■お手入れについて
日常のお手入れは、部分的なしみ落としで十分です。長期間の保存の前や、全体の汚れが気になる場合は、ドライクリーニングをお薦めしています。ご家庭での水洗いは出来ませんので、ご注意下さい。
■色について
HP上の商品の色は可能な限り、現品に近づけてはおりますが、お客様のご使用のパソコン、OS、ディスプレイ(モニター)により色味が異なる場合がございます。何卒ご理解頂きますよう、お願いいたします。*パソコンで綺麗に表示されない場合、iphoneやスマートフォンからアクセスして頂くと、綺麗に表示される場合があります。
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