名古屋からおよそ2時間、長良川の上流に位置する郡上八幡。この土地で織られる紬織物、それが「郡上紬(ぐじょうつむぎ)」です。
元々は自給用衣料として、また農家の副業として土地の人々に受け継がれてきた郡上紬。時代の流れと共に衰退していたこの紬を再興したのが人間国宝 故宗広力三氏です。宗広氏の長年の研鑽を経て、あらたな魅力を宿した郡上紬。銀座こうげいの白洲正子が愛し、1982年には宗広氏が紬織の重要無形文化財技術保持者(人間国宝)に指定された事で、広く知られるようになりました。しかし現在もごく限られた生産反数を守り、その高い品質を維持しています。
郡上紬の特徴はまず、その糸への拘りです。厳選した春繭から紡がれる紬糸を経糸に、横糸には一度「真綿」とよばれる状態にした繭から紡がれる真綿糸が使用されています。紬らしい柔らかな温かみと、捌きの良い着心地。他のどんな産地の紬とも異なる風合いは、この糸への拘りが生み出しています。
そして、染への拘り。昔ながらの草木染めで行われる糸染めは、郡上に自生する刈安(コブナグサ)や茜、藍などが使用されています。染めては乾かし、また染めては乾かす。繰り返し行われる下染によって、深みがあり堅牢度の高い色に仕上がります。
また綛にした糸を一度に全て染料に漬けず、少しずつ浸しながら浸透圧を利用して染める「どぼんこ染め」も郡上紬独特の技法です。
そして織。「高機(たかはた)」と呼ばれる手織り機で一本ずつ丁寧に緯糸が打込まれていきます。現在は宗広さんの跡を継がれた宗広陽介さんのもと、数名の織子さんが織に従事されています。
こちらの郡上紬は、淡亜麻色(茶の掛った柔らかなベージュ)の地色に、柔らかな色の濃淡で格子柄が織りだされています。染帯や名古屋帯を合わせて…着るほどに体に馴染む郡上紬の着心地を、末永くお楽しみ頂ければ幸いです。
郡上紬(横段格子・淡亜麻色)
素材 絹100%
長さ 約12.5m
巾 約37cm
納期 寸法確定後約30日
*お急ぎの場合はご相談下さい。
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